[必読]伊藤幸弘・不登校ひきこもり解決
不登校の問題のひとつに、「進学」という考え方があります。特に公立高校を志望する受験生の場合、どうしても
ということについて考えなければならないことと、心のダメージの大きさによって、そういうファクターを悩んでいる生徒本人に直接ぶつけることで果たしてどんな影響を与えてしまうのかという判断が非常に困難であること、このことが大きなネックになります。
というのも、私の経験上、「進路」のふた文字を目にしたとたん、不登校という事象がいかに深刻なことであるかを真剣に考え始めます。
最終的には不登校が解消したというケースもある半面、たとえば「うつ」による不登校の生徒にそんなに重大なファクターを突き付けてしまうことで、「うつ」の程度がさらに悪化してしまうリスクも十分考えられるからです。
中学生にとっての最大のテーマ
このように、特に中学生にとっては「進学」という非常に重要なファクターとどう折り合いをつけるかが、「不登校」の問題を考える上では最も難しいことであると考えられます。
ただ、どんな理由による不登校であったとしても、中学生にとって最大のテーマである「進路選択」について、少なくとも教師側は触れずに通りすぎることはできないという葛藤が生じることになると思われます。
ですから結局のところ、不登校と進路の問題に関しては、「こうすべき」というような不文律や明確な経験則はそもそものはじめから存在しないことになります。
不登校の中学生の高校進学について
不登校の問題は、今や教育現場における最大の問題と言っても過言ではない印象を受けますが、中でも、やはり高校受験を控えた中学生が不登校になってしまったというケースが非常に大きな問題であるということになります。
思春期であり、受験生でもあり、人生のうちでももっとも難しい時期に、非常に大きな問題が起こってしまうわけですから、簡単に解決できるはずがありません。
しかし、そういう事態が起こってしまった以上、これを無理やりどうにかしようという力任せの考え方はより危険であるといえます。
もちろん本人だって高校進学を控えていることくらいよく理解しているはずですが、それでも「受験生としてがんばる」という道ではなく、「不登校」という道を選ばなければならなかったその理由があることになります。
まずはその部分をしっかりと究明してからでないとうかうか動きが取れないというのが正直なところでしょう。
原因がはっきりしている場合、これを取り除くことで不登校から脱出することができる場合もありますが、しかし原因がわかっていても事態はそう簡単ではありません。
その上原因がはっきりしないとなると、これはもう完全に身動きが取れない状況であるといわなければなりません。
原因の究明や、あるいはその原因を取り除くことが難しい場合であっても
中には、不登校になってしまったからといって、高校進学をあきらめてしまうという親御さんもいるようです。
不登校ではあるけれど、本人が高校進学を希望している以上は、そこで進学を挫折してしまうのではなく、なんとか進学する方向で考える必要があります。
そのひとつの方法として「家庭教師」が挙げられます。やはり学習塾というと、クラスメイトや学校の同級生が通っている可能性が高くなりますので行きづらいでしょう。
そのためにも、家庭教師に勉強を見てもらうことは非常に有効な場合が多いです。
あるいは、自宅の近くではなく、クラスメイトや学校の同級生がだれも通わないような学習塾に通うという考え方もアリでしょう。
また、「不登校」という形とは別に、「保健室登校」という形を認めている中学校も数多くあります。
もちろん保健室以外のどこかの部屋で、学校の生徒と顔を合わせない形で授業を行うというケースも考えられます。
ただし、この場合は「欠席」の扱いになることが多いため内申には影響する可能性は大です。
不登校の中学生の進学について
中学生の不登校の大きな問題は、やはり「進学」ということになるでしょう。
近年少子化が進んでいる影響から、私立高校であれば、不登校の中学生の進学もかなり積極的に受け入れるようになってきていはいます。
しかし、授業料が高い私立に通わせることはどうしてもできないという親御さんからすれば、やはり不登校であったとしても公立の高校に進学してもらいたいと考えるはずです。
公立高校の場合、学力考査試験に関しては、その都道府県で共通の試験を行うケースがほとんどです。
しかし近年では、共通の問題とは別に独自に学校で作成した問題で試験を行い、そちらの成績をより重視するという傾向もできてきています。
また、内申点についても、学力考査に比べて評点を下げる「傾斜配点」を行う学校が増えていますので、不登校によって出席日数が少ないことが明確な不利になるケースは、以前よりも減ってきているのではないかと考えられます。
とはいえ、やはり出席日数が少ないというだけで、高校側に与える印象は決してよいものではないことは間違いありませんので、一定のハンディキャップを背負っていると考えて間違いないでしょう。
もっと言ってしまえば、学校によっては、出席日数が少ないというだけで、進学不許可者として判断してしまうことを起こりうるということになります。
しかも、そのあたりの裁量を事前に知ることはほぼできないと考えられますので、不登校の中学生が公立高校を受験するのはある程度「冒険」ということになってしまうでしょう。
ある程度学力重視の学校の場合、本番の試験さえできていれば入学を許可する可能性が大きいですが、しかし素点が小さいとはいえ内申点が考慮されないわけではありませんので、
といえます。
やはり、ほかの受験者以上に学力考査の結果を求める必要があると考えるべきです。以上のことからも、不登校で出席日数が著しく少なくなってしまったからといって、公立高校への進学をあきらめる必要はないといえます。
ただ、やはり普通のがんばりでは厳しくなってしまうことも十分考えられます。
また、私立高校の場合、受験担当の先生やスタッフの方と面談して出席日数のことについて相談すると事前に「これなら大丈夫です」とか「これでは厳しいです」などといった形で、かなりはっきりしたことを言ってくれるはずです。
ですから、公立高校を志望するケースでも、私立高校の併願校で約束をもらっておくことをおすすめします。
不登校小学生の中学受験
不登校の問題は、かつて高校生の問題とされた時期があり、最近では主に中学生の深刻な問題となってきている印象があります。
しかし実際には小学生の不登校は後々非常に大きな問題になりやすいということが指摘されるようになってきました。
小学生の不登校がのちに与える問題というと、やはり「中学生になってから勉強についていけなくなる」ということでしょう。
ただ、そういう心配はない、何しろうちは中学受験を志しているから・・・というケースも中にはあるのです。
確かにその場合なら、家庭での学習や学習塾、さらには家庭教師などを導入して小学校の授業よりもむしろ積極的な勉強をすることができる可能性はあります。
ただし、ひとつ気になることは、「不登校であった」という事実です。
義務教育である小学校を満足に卒業できていないではないか・・・という考え方です。そして、その不安は基本的にはおおむね的中してしまうというのが実際のところです。
不登校児童による中学受験は、現実問題として非常に厳しいといわなければなりません。中学生受験となると、やはり学力だけではどうにもならない部分が大きいです。
このあたりは、たとえ私立中学でも国立中学でも、「義務教育」であることが大きなネックになってきます。
やはり小学校時代に満足に学校に通うことができなかった児童が、たとえ優秀な成績で卒業したとしても、中学受験の資格がないとみなされてしまう場合がほとんどです。
もちろん、学校によって多少判断が異なるとは思いますが、しかし、一般論として、「現実は厳しい」という考え方が正しいというべきでしょう。
ただ、中にはそういった生徒を積極的に受け入れる私立中学もあります(国立中学はほぼないでしょう)。
しかし、そういった中学は、学力的には一般的な公立中学よりもさらに下のレベルであると考えていたほうがよいかもしれません。とても有名・難関私国立高校を目指すような中学ではないというのが一般的です。
これらのところまでしっかり踏まえて中学受験をすべきかどうかを判断する必要があることは言うまでもありません。多くの場合、「そういうことなら・・・」という結論に至る場合が多いことも事実です。
もちろん考え方はそのご家庭でそれぞれ異なりますが、いずれにしても、公立の小学校、もしくは中学校に満足に通えないかわりに中学受験をしてより高度な学力を身に着けたいと考えるのは少々厳しいということになるのではないでしょうか。
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