[必読]伊藤幸弘・不登校ひきこもり解決
一般に、「不登校」というと、「学校およびその生徒・児童」の側に問題があると考えられがちですが、「不登校」の場合、非常に多くのパターンがあるため、その認識は正しくありません。
というのも、家庭内における虐待などが原因となって不登校になるケースや、また、家庭の経済的理由から不登校を余儀なくされてしまうような、「家庭側の問題」で不登校という新たな問題が生じるケースも実は少なくないのです。
関連記事
学校側の問題の可能性もありますが・・・
もちろん、学校側の問題が原因となるケースや、疾患が原因となっている不登校も、その解決は非常に困難であることは間違いありません。
しかし、やはり「家庭内に問題がある不登校」の場合、外的な力(無論「圧力」ではなく、「助力」)に対しても非常に大きな制約がかかってしまうという意味で、これは解決が非常に難しいケースであると考えられます。
経済的理由で不登校になる場合、やはり保護者側が学校側、教育委員会側の申し出を受け入れたくないというケースが多いです。
虐待の場合は、保護者側が事実を隠ぺいしようとする動きが過剰になるため、問題の本質が「不登校」とすり替えられてしまうケースが多くなるようです。
このことは、近年の不登校の問題における最大の難点であると考えられるようになってきています。
その他にも、外国人が日本の学校に転入してきた際に、ことばの壁を乗り越えることができずに、不登校に陥ってしまうようなケースもそれほど珍しくありません。
関連記事
小学生の不登校は「わがまま」が原因!?
不登校に陥ってしまう小中学生が年々増加の一途をたどっていますが、その原因についてはいろいろ言われています。
言われているのは事実ですが、しかし実際のところ、その原因について明確なことがなかなか言えないというのが正直なところでしょう。
というか、「明確なことが言えない」というよりは、「明確にならない」というほうが正しいでしょう。
要するに、不登校の原因というのはそれだけ多様であるということなのです。ただ、そんな中で意外と多くみられる意見が、「小学生が不登校になってしまうのは、『わがまま』が原因だ」とするものです。
もちろん、原因が多様である以上は、そういう原因もハナから排除して考えるべきでないことは間違いないでしょう。しかし、あたかもそれが一般論であるかのような考え方は、あまりにも危険であるといえます。
もちろん、「わがまま」が原因でいじめにあうようになってしまい、結果的に不登校になってしまった場合は、考えようによっては「わがまま」が原因であると帰着することはできるでしょう。
ただし、子供が「学校に行きたくない」とする主張を
ととらえ、それが不登校の原因になっているとする意見があまりにも多く感じ、それはちょっと違うだろう・・・と言わざるを得ないという印象を率直に覚えたことも事実です。
上記のような「わがまま」が原因であるとする考え方には、あまりにも大きな欠陥があります。
なぜなら、「なぜ子供が学校に行きたくないと考えるようになったのか」という部分にまったく触れられていないからです。
不登校の問題の本質は、学校に行かないという事実ではなく、
というその根拠の部分なのですから、これは当然「欠陥」ということになります。おとなにしてはあまりにも軽率な考え方であるといわなければならないでしょう。
繰り返しになりますが、不登校の原因は多様です。しかしそれをあえて言うならば、「わがままが原因で不登校になる」というケースは極めてまれであるということです。
学校に行くべきところを「行かない」と主張しているから子供が悪いと考えるのであれば、はっきり言っておとなとしてその子供にかかわる意味はありません。
残念ながら、不登校になってしまった子供にとってメリットはありません。ただ「大嫌いな学校に行け」と言われるだけのことです。
ですから、もしそのような考え方を捨てきれない親御さんや先生がいらっしゃるのであれば、ご自身の存在意義を、もう一度見つめなおしていただきたいとこころから願います。
関連記事
ゲーム依存に陥った不登校小学生
世の中にはいろいろな「依存症」があります。一般的によく知られるのが、いわゆる「アルコール依存」であり、あるいは「ニコチン中毒」などが代表的な依存症です。
ほかにも、たとえば「薬物依存」なども、近年ではそれほど遠い話ではなくなってきました。
これらの依存症は、基本的には成人男女が陥る可能性が高いと考えられますが、しかし依存症というのは他にもいろいろあって、中には年齢にかかわらず陥る危険性がある依存症もあるのです。
近年教育現場を大きな問題に陥れているのが、「不登校」の問題です。
かつては高校生の不登校が社会問題になり、近年では中学生の不登校が大きな問題になっているので、この問題についてご存知ないという人はほとんどいないでしょう。
しかし最近新たに問題とされているのが、「小学生の不登校」です。しかも、不登校の問題を抱えている小学生が新たに抱えなければならない問題も、近年深刻化しているのです。
ゲーム依存は、やはり年齢にかかわらず陥る可能性がある依存症のひとつです。この依存症によって、「一定期間ゲームをしないと、禁断症状に襲われる」という、まさに依存症の典型的な中毒症状に見舞われることになります。
そうした症状に、不登校の小学生が陥ってしまうリスクが懸念されているのです。
不登校になって何が問題かというと、それはもちろん「学校に行かない」という非現実的な日常を送っていることもそうですが、そういった非日常的な日常の中で、唯一のよりどころとなっているのが「ゲーム」だけ・・・という環境は、どう考えても小学生にとって望まれない環境であることは間違いありません。
小学生にとって体験しなければならないリアリティの世界ではなく、虚構の世界でしか生きていないわけですから、これは考えられる以上に深刻な問題です。
さらに問題となるのは、それがいけないといってゲームを取り上げてしまったときに、その子供の手元には何ひとつ残らないということです。
おそらくこれまで何も問題なく大人になった人からすると、その地獄のような状況を理解することはおろか、イメージすることさえ不可能なのではないでしょうか。
ですから、不登校の小学生が学校に行かず家でゲームばかりしているという状況は、額面以上に危機的な状況であるということを、周囲の大人がしっかりと理解する必要があります。
解決のたには、まずはそこからスタートしなければならないでしょう。